代表挨拶

原爆の惨禍から立ち上がろうとしていた1950年代、広島では多くの写真作家が、戦時中の統制から解き放たれた自由な環境の中で表現活動に取り組んでいました。親睦と写真文化の向上をめざした有志が1957年、広島県写真連盟を創立しました。

今とは比較にならない貧しい時代でした。カメラは高額で、「買った夜は抱いて寝た」と、先輩から聞きました。性能は今に比べれば格段に劣っていましたが、熱意は旺盛でした。独自の視点で心象を映像化し、時代を切り取った貴重な作品を残し、広島の写真界の発展に寄与しました。

時代は大きく変わり、写真技術は革新され、デジタル化・ネット化によって撮影、創作、発表環境は飛躍的に広がっています。写真は誰でも手軽に撮れる時代になりました。このことは半面、「個」の発信が優先され、同好の人と人とがつながる関係を弱くしているとも言えます。
 
当連盟は、発足当時の理念である親睦と写真文化の向上を基に、各団体の皆さんが写真を通して連携する「ハブ」の役目を担う存在でありたいと思います。そして、今を未来へ伝える写真文化を広島に積み重ねたいと願っています。人生をより楽しく、より豊かに。是非ご参加ください。

2019.10.1       広島県写真連盟会長 尾崎秀司